現場思考力ゼミ ―中学入試を使って現場思考力を培う―

現場思考力とは、与えられた条件や自分の持っている常識、知識を組み合わせて、何らかの推論や結論を出す力のことをいいます。中学受験の社会入試問題を使って、現場思考力の養成をはかることを目的に、2014年に双方向性を持ったブログとして運営していました。生徒の答案を添削して公開するという取り組みでした。このブログではその問題と解説の一部を保存しています。

03鷗友学園女子H21 解答解説(中学入試で培う現場思考力)

 大臣の「順送り人事」に対する批判か?

 

 2009年の問題ですから、安倍→福田→麻生と総理大臣が毎年のように変わっていた時期です。2012年まで毎年のようにかわっていた総理大臣ですが、大臣もよく交代していました。もちろん体調不良などのやむにやまれぬ事情もあるのですが、「政治とカネ」の問題(もらってはいけないお金をもらっていたり、個人的に買ったものを経費として請求したり、事務所ではないところを事務所にしてその費用を請求したり、事務所の水道代で何百万を請求するという不自然さがあったり…)や失言(女性に対して差別的な発言をしたり…)で辞めてしまうことが多いです。

 あるいは、こんなこともあります。国会議員の中には大臣になりたい人がたくさんいるはずです。しかし大臣は十数人と数が限られています。そこで1年くらいで仲間を順送りで大臣を交代させて、できるだけ多くの仲間を大臣にしようというものです。政治家は大臣になった方が、「○○大臣になりました」といって選挙にも当選しやすいですし、大臣を任命するのは総理大臣ですから、たくさんの人を大臣に任命すれば「あの総理大臣のおかげで大臣になった」といって人気も出そうですね。

 

そんな裏話はさておいて、今回の問題の解説に入りましょう。「もし、あなたが内閣総理大臣だとしたら、どのようなことを条件として大臣を任命しますか」という問題。もちろん、自分勝手に思いついたまま書いても得点がもらえません。「身長が高くてかっこいい人」「美人」「頭のいい人」「性格がいい人」とか書いてもダメですよ。問題にもありますが、資料を参考にして答えるのです。

資料4から読み取れることとしては、大臣が頻繁に交代しているという事実です。ということは「長く大臣を務められる人」ということが求めている解答ですね。

資料5を読んで、びっくりした人もいるかもしれません。大臣なのに何も分からないなんて。専門の分野ではないから、これから勉強する? なんで、こんな人が大臣になっているのと思いそうですね。今回はなぜこんな人が選ばれてしまうかは問われていないので、興味があれば上の雑談をもとに考えてくださいね。では、資料5から答えることは何か。「その分野に精通した、専門的な知識を持った人」という解答が求められています。知らなくても、資料から情報を読み取って答えればいいのです。

 

国会中継を見ていると、自分の言葉ではっきりと答弁できる大臣もいれば、メモを見て何とか答えるのがやっとの大臣、時には後ろから国家公務員にひそひそアドバイスをもらってから、その通りに答える大臣もいます。友の先生はいい加減な大臣がいることに警鐘を鳴らす(悪い方向に向かっていることを指摘する)つもりで出題したのかもしれませんね。

 

解答例

 

安定した政治を行うために、担当省庁の仕事について専門的知識を持ち、短期間で投げ出すことのない人物。

 

字数に余裕があれば「国家公務員に適切な指示を出せる人物」や「不祥事を起こすことがない」という要素も入れたいところです。